
学生の皆さんへ
現代社会には量子力学がなくてはならない存在です. 例えば, 皆さんがお持ちのスマートフォンの中の電子回路は半導体をはじめ, その多くは量子力学的な原理を応用した技術によって動いています. 本研究室ではそのような応用とは異なり, それらの前提となる基礎研究の中でも特に物質の性質を探る物性物理に興味を持って研究しています. 応用と基礎に優劣をつけることはできませんが, 応用研究が今の社会に還元されるものであれば, 基礎研究は量子力学がそうであるようにいわば百年後に役に立つ可能性を秘めたものです.
本研究室が目標としているのは極限環境 (極低温・高磁場・高圧力) 下での測定技術の開発と新奇な物性の開拓です. 特に極低温環境においては, 熱ゆらぎが抑えられることにより, 量子力学的な「ゆらぎ」がしばしば物質の性質に大きな影響を持つようになります. 高磁場や高圧力下においては, その「量子ゆらぎ」が増強されることにより, スピン液体や超伝導といった特異な状態が発現することもあります. 極限環境下での測定は困難なことが多いですが, 新たな物理現象を発見したときのインパクトも大きいものです.
2025年4月に発足したばかりの本研究室ではまだまだ0.1 Kまでの極低温の測定環境は整っていませんが, 逆に皆さんのアイデア次第で既存の測定手法の改良や新たな測定技術の開発をしていくことも可能です. ぜひ一緒に新たな物性物理の一面を開拓していきませんか.